駐車場を売却する方法を解説!流れやメリット・デメリットとは
こんにちは!栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」の土屋です。
運営中の駐車場を手放したい場合、仮に建物のない平置き駐車場だったとしても、通常の土地の売却とは異なる手続きが必要です。
今回のコラムでは駐車場を売却する具体的な方法や、方法ごとのメリット・デメリット、売却にかかる費用を解説します。
駐車場の売却や土地の有効活用を考えている方はぜひご覧ください。

駐車場を売却する方法
駐車場の売却方法は、主に2つあります。
「そのまま駐車場として売却する方法」と「更地にして宅地として売却する方法」です。
「建物が建っていない平置き駐車場なら、更地としてそのまま売れるのでは?」と思うかもしれませんが、実は違います。
土地はそれぞれ特定の用途が登録されており、住宅を建てる土地は「宅地」、駐車場として使っている土地は「雑種地」となります。
雑種地は用途を特に限定していない土地で、厳密にはほかの法律的な問題がなければ雑種地に家を建てられないわけではありません。
しかし一般的に家を建てるときには、住宅を建てるために造成された「宅地」に家を建てます。
なお、雑種地の売却方法についてはこちらのコラムでも詳しくご紹介しています。
【そのまま駐車場として売却】流れとメリット・デメリット
駐車場をそのまま駐車場として売却する大まかな流れは以下のようになります。
- 価格の相場を確認する
- 不動産会社に査定を依頼する
- 不動産会社と媒介契約を結び、売却活動を行う
- 買い主と不動産売買契約を締結する
- 駐車場賃貸借契約の引き継ぎをする
- 引き渡し、決済、所有権の移転を行う
この場合でポイントとなるのは、現在の駐車場利用者と交わしている駐車場賃貸借契約を、土地の買い主に引き継ぐことです。
そのまま駐車場として売却するメリット
駐車場をそのまま売却するメリットは、特別な工事や手続きが必要なく、現状のままで売却できる点です。
工事や手続きに関わる費用や手間がかかりません。
また、都市部や商業地区など、駐車場需要が高いエリアでは需要が高く、高値で売れる可能性があります。
そのまま駐車場として売却するデメリット
一方、デメリットは購入希望者が限られるため売れにくく、価格が下がる可能性があることです。
駐車場として売却するので、駐車場経営を目的としている人にしか需要がありません。
また、投資物件はその収益率から価格が決まるため、賃貸住宅と比べて収益力が低い駐車場は価値が低く、売却価格が安くなりがちなのもデメリットでしょう。
【駐車場を更地(宅地)にして売却】流れとメリット・デメリット
駐車場を更地にし、宅地として売却する流れは以下のようになります。
- 宅地化可能な土地か確認する
- 駐車場利用者と立ち退き交渉をする
- 不動産会社に査定を依頼する
- 不動産会社と媒介契約を結び、売却活動を行う
- 買い主と不動産売買契約を締結する
- 駐車場の解体・宅地化工事を行う
- 地目変更手続きを行う
- 所有権を移転する
- 引き渡し、決済、所有権の移転を行う
駐車場を宅地にして売却する際のポイント
駐車場を宅地にして売却する場合は、以下の3点に注意が必要です。
①売却する土地が宅地に地目変更できるのか確認する
土地は、都市計画法に基づいてエリアごとに「用途地域」が設定され、建てられる建物が制限されています。
市街化区域内で、住宅が建てられる用途地域かどうかを確認しましょう。
また、都市計画法では問題がなくても、建築基準法の基準を満たしておらず、建物を建てられないという土地も存在します。
代表的な例として「再建築不可」の土地があり、これは建築基準法の接道義務を満たしていないため、新たに建物を建てられません。
②駐車場利用者に立ち退き交渉をする
駐車場を解体するためには、現在の駐車場の利用者に立ち退いてもらわなくてはいけません。
一般的には、解除と立ち退きまでに1~2カ月程度の猶予期間を設け、契約解除の告知をします。
立ち退きにあたっては、駐車場利用者が「立ち退き料はもらえないのか」「代わりの駐車場を用意してほしい」など主張し、トラブルになってしまうことも。
利用者全員が立ち退くまで解体工事ができず、売却が進められません。
③地目変更手続きをする
土地の造成工事を行い、現況を変更したあとに、地目変更登記を行います。
申請先は土地の住所を管轄する法務局で、申請期限が決まっているので注意しましょう。
駐車場を更地(宅地)にして売却するメリット
住宅を建てる土地を探している人は多く、買い主が見つかりやすいので、高く・早く売れやすいのがメリットです。
土地の活用の幅が広がり、需要が高まります。
駐車場を更地(宅地)にして売却するデメリット
一方、駐車場の解体や整地、造成工事、行政手続きなどに費用や手間、時間がかかることがデメリット。
立ち退き交渉に時間がかかって、売却がスムーズに進まない可能性もあります。
駐車場を売却する際にかかる費用・税金

駐車場の売却にかかる主な費用や税金を確認しましょう。
仲介手数料
不動産会社を通して売却すると、不動産会社に仲介手数料を支払う必要があります。
仲介手数料はその上限額が法律で定められています。
計算式(速算式)は以下の通りです。
- 売却価格200万円以下:売却価格×5%+消費税
- 売却価格200万円超~400万円以下:売却価格×4%+2万円+消費税
- 売却価格400万円超:売却価格×3%+6万円+消費税
解体・造成費用(宅地にする場合)
駐車場を宅地にして売却する場合は、解体工事や造成工事が必要となります。
費用は土地の広さ、駐車場の形態・規模、土地の状態などによって大きく異なります。
小規模な平置き駐車場なら50万~100万円程度、中・大規模の屋根付き駐車場などは数百万円かかることも珍しくありません。
印紙税・登録免許税
印紙税とは、不動産売買契約書に貼付する印紙の費用です。
印紙税額は契約金額によって異なります。
登録免許税は、登記手続きを行う際の費用です。
一般的に所有権移転登記は買い主、抵当権抹消登記費用は売り主負担となることが多いですが、明確な決まりはなく、両者の合意で決められます。
なお、地目変更登記には登録免許税はかかりません。
所得税・住民税
駐車場を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、利益に対して所得税と住民税がかかります。
計算式と税率は以下の通りです。
譲渡所得=売却価格 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除
税率は所有期間5年を境に異なります。
- 短期(5年以内)所得税15.315%、住民税5%
- 長期(5年超)所得税30.63%、住民税9%
※2.1%の復興特別所得税を含む
駐車場の売却時に利用できる特例
譲渡所得にかかる税金を軽減できる特例があります。
条件に当てはまる場合は積極的に活用しましょう。
長期譲渡所得の1,000万円特別控除
2009年または2010年に取得した土地を2016年以降に売却した場合は、譲渡所得から1,000万円が控除できます。
譲渡所得(利益)が減ったぶん、所得税や住民税が軽減します。
公共事業による行政へ売却した場合の特別控除
土地開発などのために行政に土地を売却した場合は、以下のような特別控除が適用できます。
- 特定住宅地造成事業などのための土地の売却:1,500万円の特別控除の特例
- 特定土地区画整理事業などのための土地の売却:2,000万円の特別控除の特例
- 公共事業などのための土地や建物の売却:5,000万円の特別控除の特例
なお、特別控除を受けるためには確定申告が必要です。
駐車場の売却方法は、駐車場として売る・宅地として売るの2種類
駐車場を売却する方法は、そのまま駐車場として売る、駐車場を解体して更地にし、宅地に変更して売るという2つの方法があります。
そのまま駐車場として売る場合は、現在の駐車場賃貸借契約を土地の買い主に引き継ぐ必要がありますが、特別な工事などの必要がなく、手間が少ないのがメリット。
しかし、「駐車場経営をしたい」という方にしか需要がないため、駐車場の需要が高くないエリアでは売却に時間がかかったり、売却価格が安くなってしまう可能性があります。
一方、宅地に変更して売るのは、土地活用の選択肢が増えて需要が高まるので、早く・高く売れる可能性があります。
ただし、駐車場利用者に立ち退きをお願いし、駐車場を解体、造成工事をし、宅地への地目変更手続きが必要なため、手間や費用、時間がかかるのが注意点です。
宅地へ変更できる土地なのか事前に確認するのも忘れてはいけません。
駐車場を売却する際にかかる主な費用は、売却時の印紙代・登録免許税、仲介手数料、売却利益に対する所得税・住民税などです。
特別控除の条件に合う場合はぜひ積極的に活用してください。
栃木県で不動産の売却を検討している方は、栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」に、ぜひご相談ください。

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