不動産売却の基礎知識

借地権割合の調べ方を解説!計算方法や注意点は?売却するポイントも

こんにちは!栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」の土屋です。

「借地権割合とは何だろう?」

「借地権割合の調べ方や計算方法は、どうすれば良いのだろう?」

 

このような疑問をお持ちではありませんか?

 

借地権割合は、相続税評価や、借地権付き土地・建物の価格を考える際に使われる重要な指標の一つです。

 

今回は、そもそも借地権とは何か、借地権割合はどのような場面で使われるのか、借地権割合の調べ方や計算方法まで、わかりやすくご紹介。

借地権割合を使う際の注意点、借地権のある土地を売却するポイントも解説しますので、借地権付きの不動産をお持ちの方や今後売却を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

家の模型と電卓

 

 

借地権割合とは?どんな場面で利用される?

借地権割合を理解するために、まずは土台となる「借地権」そのものからご説明します。

 

「借地権」とは

借地権とは、「他人の土地を借りて、自分の建物を建てて使用できる権利」のことです。

 

土地の所有者は地主であり、借主は土地そのものを所有するわけではなく、あくまで「土地を使う権利」を持っています。

 

一つの土地に「土地そのものの所有権(底地権)」「借りて使う権利(借地権)」という2つの権利が重なって存在している、という構造になります。

 

「借地権割合」とは

借地権割合とは、土地全体の価値のうち、「借地権がどのくらいの割合を占めているか」を示したものです。

 

例えば、土地を自分で自由に使えるものとして評価した金額(自用地評価額)が1,000万円だとします。

 

その土地の借地権割合が70%なら、「1,000万円×70%=700万円」となり、「借地権としての価値は、おおよそ700万円程度」と考える目安になります。

 

借地権割合は、国税庁が地域ごとに定めていて、毎年更新されています。

路線価(税金計算のために国が定める土地の評価額)とあわせて公表される仕組みです。

 

住宅地では、借地権割合が60〜70%程度(郊外や地方は50〜60%程度)とされているケースが、目安としてよく見られます。

 

借地権割合が使われる場面

借地権割合は、主に次のような場面で使われます。

 

①相続税の評価をするとき

借地権は「財産」として扱われるため、相続税を計算する際には「借地権をいくらの価値として評価するか」を算出する必要があります。

その際の計算に使われるのが借地権割合です。

 

②贈与税の評価をするとき

親から子へ、建物と借地権をセットで贈与する場合、「土地を借りている権利」の部分にも経済的価値があると考えられるため、借地権割合を使って評価します。

 

③借地権の売却価格を考えるときの目安

借地権の売却では、「借地権がどのくらいの価値になるのか」を見極める材料として利用されます。

 

ただし、実際の売却価格は、地主との関係、契約条件、立地や市場の動きなどによって変わるため、あくまで参考値として使われます。

 

 

借地権割合の調べ方は?確認手順や計算方法を確認

借地権割合を調べる方法として一般的に用いられているのが、国税庁が毎年公表している「路線価図」を確認する方法です。

 

路線価図とは、土地の相続税評価をするために国が定めた土地価格を「道路ごと」に示した地図のことを指します。

 

借地権割合を路線価図から調べるステップ

借地権割合を路線価図から調べるステップは、下記の通りです。

 

STEP1:国税庁の「財産評価基準書」サイトを開く

国税庁のサイト「財産評価基準書」を開きます。

 

STEP2:都道府県 → 市区町村を選ぶ

トップページの日本地図から、調べたい土地が所在する都道府県をクリックします。

次ページに表示される「路線価図」を選び、閲覧したい市区町村のリンクを開いてください。

 

STEP3:該当エリアの路線価図を表示する

市区町村を絞り込んでいくと、最後に路線価図ページ番号が表示されます。

該当するリンクをクリックすると、対象エリアの路線価図が閲覧できます。

 

STEP4:数字とアルファベットを読み取る

路線価図には、道路沿いに「500C」「240E」などの表示が確認できます。

 

数字は1㎡あたりの土地の価値「路線価」で、アルファベットは借地権割合です。

 

【アルファベットが示す借地権割合】

  • A:90%
  • B:80%
  • C:70%
  • D:60%
  • E:50%
  • F:40%
  • G:30%

 

例えば、路線価図に「600C」と表示されている場合、数字の600は「600千円(路線価は千円単位で表記)」を意味し、1㎡あたり60万円の路線価を表します。

 

アルファベットは「C」なので、借地権割合は70%となります。

 

路線価がない「倍率地域」の場合は?

都市部以外では、道路ごとに路線価が設定されていない区域もあります。

このような区域は「倍率地域」と呼ばれ、借地権割合の調べ方が少しだけ異なります。

 

閲覧したい市区町村を絞り込んでいく流れは同様ですが、倍率地域の借地権割合を調べる場合には、路線価図ではなく、「この市区町村の評価倍率表を見る」というリンクをクリックします。

 

すると「倍率表」の一覧が表示され、項目の一つとして、借地権割合が確認できます。

 

借地権割合を用いた評価額目安の計算方法

借地権割合を使うと、借地権としての価値(評価額)の目安を計算することも可能です。

 

【基本の計算式】

借地権の評価額 = 土地の評価額 × 借地権割合

 

例えば、その土地を自用地として評価した場合の価格(自用地評価額)が3,000万円で、借地権割合が60%であれば、下記のように算出できます。

 

3,000万円 × 60% = 1,800万円

 

実務では土地の形状や接道状況などによって補正が入るケースもありますが、この1,800万円が、税務上の借地権評価額の目安として扱われます。

 

 

借地権割合を使う際の注意点は?借地権のある土地を売却するポイントも確認

借地権割合は「借地権の価値を知るための重要な指標」ですが、実際に使うときにはいくつか注意すべき点があります。

 

注意点①相続税評価額と実際の売却価格は一致しない

借地権割合を用いて計算される金額は、あくまで相続税や贈与税を計算するための評価額です。

 

一方で、実際に市場で借地権を売却するとなると、価格は次のような要素によって大きく左右されます。

  • 地域の慣行(借地権が活発に売買される地域かどうか)
  • 地主との関係性
  • 契約内容(地代・更新料の条件など)
  • 物件の立地や周辺環境

 

このため、借地権割合から算出した評価額はあくまで目安であり、実際の売却価格とは別物として考える必要があります。

 

注意点②地域によって売れやすさが大きく違う

例えば、地代が高い地域では買い手にとって負担が大きいため、借地権の売却価格が下がることがあります。

 

逆に、立地条件が良く市場からの需要が高いエリアでは、相続税評価額より高く売れるケースもあります。

 

このように、借地権は地域によって売れやすさが違うケースもあると知っておきましょう。

 

借地権のある土地を売却するときのポイント

借地権付きの土地は、通常の所有権土地とは異なり、売却の進め方に特徴があります。

 

ポイント①売却には地主の承諾が必要になるのが一般的

借地権は地主が所有する土地を「借りて使う権利」です。

そのため、借地権を第三者へ売却する場合は、契約内容や慣行上、地主の承諾が求められるケースが一般的です。

 

トラブルを避けるためにも、売却を検討し始めた段階で、地主に事前相談しておくと手続きを進めやすくなります。

 

ポイント②承諾料がかかることがある

地主から売却の承諾を得る際に、「承諾料」を求められる場合があります。

 

金額は地域の慣習や契約内容によって異なりますが、一般的には「借地権価格の10%前後」が目安とされることが多いようです。

 

ポイント③ 売却先によって価格が変わる

借地権は、売る相手によって価格が変わりやすい特徴があります。

 

【売却先の主な選択肢】

  • 地主に買い取ってもらう
  • 第三者に売却する
  • 借地権を専門に扱う不動産業者に売却する

 

それぞれにメリット・デメリットがあり、「価格を重視したい場合」「早さや確実性を重視したい場合」など、状況によって適した方法は異なります。

 

そのため、複数の業者や選択肢を比較検討することが重要なポイントとなります。

 

借地権付きの物件の売却を検討されている方は、ぜひ「借地権付き建物は売れない?売却方法やメリット・デメリットなどを解説」もあわせてご参照ください。

 

 

借地権割合を調べたら次に確認すべきポイントは?目的別にチェック

ポイント

ここでは、売却・相続(贈与)・契約更新という3つのケースに分けて、借地権割合を調べた後の次のステップをご紹介します。

 

売却を検討している場合

借地権割合を調べると、「この借地権にはどれくらいの価値があるのか」という大まかな目安がつかめます。

 

ただし、借地権割合はあくまで判断材料の一つであり、実際に売却できるか・いくらで売れるかを判断するには、追加で確認すべき点があります。

 

次のポイントを押さえておくと、売却への流れがスムーズに進むでしょう。

  • 土地(借地権)を売って良いか、事前に地主に確認しておく
  • 借地契約書を見て、承諾料など売却に関するルールが書かれているか確かめる
  • 地代や更新料など、買い主が引き継ぐ条件を整理しておく
  • 不動産会社や借地権を扱う業者に複数社相談し、見積もりを比べる

 

相続や贈与を考えている場合

相続税や贈与税では、借地権割合を使って借地権のある土地の評価額を計算します。

 

ただし、評価の基準は毎年見直されるため、次の点も確認しておくと安心です。

  • 相続税の計算は、相続が発生した年の路線価や借地権割合を使用する
  • 相続人ごとに負担額(税額)が変わるため、専門家に相談した上で評価額を確認する

 

借地権割合だけを見て判断すると誤解につながる可能性もあるため、税理士などの専門家に確認しながら進めるのも一つの方法です。

 

借地契約の更新・地代の見直しを検討している場合

借地権割合は、更新料や地代の話し合いをする際の参考材料の一つになります。

 

ただし、最終的な金額は「借地権割合だけ」で決まるわけではなく、地主との相談・契約内容などを踏まえて決まります。

 

交渉をスムーズに進めるためには、次の点もあわせて確認しておくと安心です。

  • 最新の路線価を確認し、地域の地価が上がっているか、下がっているかを把握する
  • 借地契約書に、更新料や地代の見直しに関する決まりが書かれていないか
  • 地域の地代相場と現在支払っている金額を比較する

 

これらを事前に整理しておくことで、地主との話し合いが進めやすくなり、納得感のある条件での更新や見直しにつながりやすくなります。

 

 

借地権割合の調べ方と活用法を理解して、状況に合った適切な判断を

借地権割合は、相続税・贈与税の計算だけでなく、借地権付き不動産の売却や契約更新など、借地に関わる多くの場面で役立つ指標です。

 

借地権割合の調べ方としては、国税庁が公表している路線価図や、路線価が設定されていない地域では倍率表を確認する方法が一般的です。

 

ただし、借地権割合から算出される金額は、あくまで税務上の評価額であり、実際の売却価格と一致しないケースが多い点には注意が必要です。

 

売却時には、地域の慣行、地主との関係、契約内容、地代などが価格に影響します。

 

相続・贈与を考えている場合は、毎年更新される路線価をもとに最新の借地権割合で評価額を確認し、特例の適用可否や申告期限などについても早めに把握しておくと判断しやすくなります。

 

また、契約更新や地代の見直しを行う際には、借地権割合を「交渉材料の一つ」として活用しつつ、契約内容や周辺の地代相場などもあわせて確認しておくと安心です。

 

借地権割合は便利な指標ですが、目的によって使い方や重視すべきポイントは異なります。

 

迷った場合は、不動産会社や税理士などの専門家に相談しながら進めることで、より納得感のある判断につながるでしょう。

 

栃木県で不動産の売却を検討している方は、栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」に、ぜひご相談ください。

 

借地権割合の調べ方を解説!計算方法や注意点は?売却するポイントも

宇都宮店 土屋 清

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