不動産売却の基礎知識

傾斜地・崖地の売却は難しい?その理由や売却前にできる対策を解説

こんにちは!栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」の土屋です。

 

「傾斜地や崖地は売却が難しいと聞いたけれど、なぜだろう」

「そもそも傾斜地や崖地とは、どのような土地なのだろうか?」

 

こんな疑問や不安をお持ちではありませんか?

 

傾斜地や崖地は平坦な土地と比べると売却が難しい場合があります。

 

そこで今回は、傾斜地・崖地がなぜ売却しにくいのか、その理由について詳しく解説。

売却をスムーズに進めるための対策や準備もあわせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

傾斜地の家

 

 

傾斜地・崖地(がけ地)とは?売却時の注意点も確認

まずは、傾斜地・崖地とはどのような土地か確認しておきましょう。

 

それぞれの一般的な定義とあわせ、法的な位置づけ・関係法令・条例もご紹介します。

 

傾斜地とは

傾斜地とは、地面が斜めになっている土地を指します。

法律で厳密な定義はありませんが、緩やかな坂になっている土地や段差のある土地も「傾斜地」と呼ばれることがあります。

 

見晴らしの良さや自然の多さが魅力になる反面、建物を建てるときには地盤や構造に注意が必要です。

 

崖地(がけ地)とは

崖地とは、傾斜地のなかでも特に角度のきつい土地のことです。

 

特に勾配の急な傾斜地を指し、一般的な目安としては、地面の傾斜角度が30度を超えるような急な斜面が該当します。

 

自治体によっては「高さ2〜3メートル以上の崖」を崖地とみなすケースもあります。

 

崖地は見た目にもわかりやすい特徴がある一方で、崖崩れや土砂災害のリスクが高いため、建築や造成に関するルール、法令や条例の制限が多く決められています。

 

売却時に関係してくる主な法律・条例

傾斜地や崖地は、平坦な土地に比べて安全面への配慮が必要です。

そのため、建築や造成に関していくつかの法律や条例による制限があります。

 

【制限の例】

  • 建築・造成の自由度が下がる
  • 宅地として利用するには造成工事が必要
  • 工事を行うには自治体などの許可が必要

 

代表的なものを紹介しましょう。

 

①がけ条例(自治体ごとの条例)

自治体ごとに定められた、崖の近くで建物を建てるときの安全基準です。

「崖の高さの2倍以内」に建てる場合、擁壁や防護壁などの対策が必要になることがあります。

 

※基準は自治体によって異なるため、事前の確認が必要です。

 

②土砂災害防止法(国の法律)

土砂災害の危険がある区域を「警戒区域」や「特別警戒区域」に指定し、建築に制限をかける法律です。

特別警戒区域では、建物の構造に厳しい基準がかかり、建築費が高くなる傾向があります。

 

③急傾斜地崩壊危険区域(都道府県が指定)

崖崩れの危険が高い場所を指定する制度です。

盛土、伐採、造成などの工事を行う場合は、許可が必要になることがあります。

 

④宅地造成工事規制法(造成工事のルール)

一定の高さ・面積を超える工事の場合、崖を削ったり、土を盛ったりして造成するには、自治体等の許可の取得、安全対策が必要です。

 

 

傾斜地・崖地の売却は難しい?その理由は?

傾斜地や崖地は、平坦な土地と比べて売却が難しい傾向があります。

その背景には、土地の特徴ゆえに「買い主が躊躇しやすい理由」がいくつもあるためです。

 

ここでは、代表的な4つの理由をわかりやすく紹介します。

 

①活用の自由度が低く、買い主が限定されやすい

傾斜地や崖地は、建築や造成にさまざまな制限があるため、自由な活用が難しい土地です。

「理想の家を建てたい」という買い主にとって、建てられる建物が限られてしまうことは大きなネックになります。

 

その結果、そもそも購入の候補に入らないことが多く、買い主が見つかるまでに時間がかかるケースが少なくありません。

 

②造成や補強にコストがかかり、買い主が購入を躊躇する

傾斜地や崖地を宅地として整えるには、擁壁の補強・地盤改良・排水設備の整備など、造成工事の費用がかかる場合があります。

 

場合によっては数百万円以上になることもあり、売り主側にとっても準備の負担が大きくなります。

 

また、買い主の立場から見ても「購入後に追加費用がかかるのでは?」という不安要素になりやすく、購入を躊躇される原因になります。

 

③隣地との境界問題など購入後のトラブルリスクの可能性

傾斜地や崖地では、隣地との境界が曖昧であったり、擁壁の修繕費用の分担や崩落時の損害賠償を求められたりするなど、トラブルの可能性がつきまといます。

 

買い主が購入をためらう大きな理由の一つが、この「将来トラブルに巻き込まれるかもしれない」という不安です。

結果として、敬遠されやすい土地となってしまいます。

 

④将来的な資産価値の下落を懸念される

傾斜地や崖地は、今後の法改正や防災意識の高まりによって規制がさらに厳しくなる可能性があります。

 

また、維持管理にコストがかかるため、長期的に見て資産価値が下がると懸念されがちです。

「買っても将来売るときに苦労しそう」という買い主の心理が、購入をためらう要因になります。

 

 

傾斜地・崖地をスムーズに売却する方法は?売却前にできる対策と準備も

ソーラーパネルが設置された土地

傾斜地や崖地は売却のハードルが高い土地ですが、事前にしっかり対策・準備をしておくことで、売却をスムーズに進めることが可能です。

買い主が感じやすい不安を先回りして解消できれば、売却のチャンスは大きく広がります。

 

ここでは、売却前にやっておきたい主な対策と、スムーズに売却するための具体的な方法を紹介します。

 

傾斜地・崖地の売却前の対策・準備

まずは、売却前にやっておきたい主な対策・準備をご紹介します。

 

①インスペクション(住宅診断)で安全性を証明する

傾斜地や崖地では、「安全性への不安」が買い主の大きな懸念材料です。

 

その不安を取り除くために効果的なのが、インスペクション(第三者による土地・擁壁の診断)です。

 

擁壁の状態、地盤の安定性、排水設備、崩落リスクなどを調べることで、下記のメリットがあります。

  • 安全性の証明材料になる
  • 買い主に具体的な情報を提示できる

 

費用はかかりますが、買い主の信頼を得やすくなり、交渉を有利に進められる可能性が高まります。

 

②必要に応じて安全対策を実施する

擁壁に劣化が見られたり排水設備が不十分だったりする場合は、補修・補強などの安全対策を売却前に行うことも検討しましょう。

 

下記のような対策を行うことで、買い主が安心して購入できる状態に近づけられます。

  • 擁壁の補修・補強工事
  • 排水設備の設置・改修
  • 危険箇所の整備

 

ただし、費用対効果を考えた上で実施することが大切です。

 

③造成計画書や測量図を用意しておく

造成計画書、高低測量図、擁壁の設計図書、検査済証、地盤調査報告書などをあらかじめ準備しておくと、買い主が土地の利用を具体的にイメージしやすくなります。

 

「購入後の手間が見えやすい」ことで、価格交渉や購入判断が進みやすくなるでしょう。

 

続いて、スムーズに売却するための方法をご紹介します。

 

スムーズに売却するための方法・選択肢

傾斜地や崖地でも、「売り方の工夫次第」で売却しやすくなるケースがあります。

ここでは、代表的な3つの方法とその特徴・メリット・デメリットを紹介します。

 

①資産活用の提案付きで売却する

傾斜地・崖地の売却で効果的なのが、具体的な活用案をセットで提案する方法です。

 

下記のように買い主に「活用イメージ」を持たせることで、土地の魅力を伝えやすくなります。

  • 太陽光発電用地(300坪以上の土地の場合)
  • 資材置き場や駐車場としての活用
  • キャンプ場などレジャー利用

 

メリットとしては、活用案が明確なため、買い主が決断しやすいことが挙げられます。

ただし、用途によっては対象となる買い主層が限定される点は、デメリットとして知っておく必要があるでしょう。

 

②隣地所有者への売却を検討する

隣地所有者を売却のターゲットとして検討するのも良い方法です。

隣地所有者にとって、傾斜地や崖地を購入することは、下記のメリットがあるからです。

  • 敷地を広げられる
  • 災害リスクを自分でコントロールできる
  • 将来の活用の幅が広がる

 

隣地所有者は土地の状況をよく知っている分、価格交渉がシビアになる可能性がありますが、その一方で話が早く進みやすいというメリットもあります。

 

③不動産買取を利用する

傾斜地や崖地の売却では、不動産会社に仲介を依頼するのではなく、直接買い取ってもらう「不動産買取」という方法もおすすめです。

 

買取価格は仲介よりも低くなる傾向があるものの、買い主探しの時間がかからないため早期売却が可能です。

 

さらに、現況のまま引き渡せるという大きなメリットもあります。

 

実際に、イエステーションでは「家の裏が崖」という状況の空き家を、買取によってスムーズに売却したケースがありました。

 

詳しくは、不動産売却の事例「家の裏は崖があって今は土砂災害などが少し気になりますよね。 こういう状況でも売却は可能なんでしょうか。」をご覧ください。

 

このように、買取対応のある不動産会社を選べば、崖地にある不動産でも売却のチャンスを広げることができます。

 

価格よりもスピードを重視したい方にとって、非常に有効な選択肢といえるでしょう。

 

ここまでご紹介した通り、傾斜地や崖地のように、災害リスクを抱える土地は売却が難しいと思われがちですが、実際には適切な対策や売却方法を選べば売却は十分可能です。

 

例えば、液状化リスクのある土地も、売却のポイントを押さえた対応を行えば、成約につながるケースもあります。

 

詳しくは「液状化した土地・液状化リスクがある土地は売却可能?売却方法や注意点」をご参照くださいね。

 

 

傾斜地・崖地の売却は、対策と準備で成功の可能性を高められる

傾斜地や崖地は、平坦な土地と比べて活用の自由度が低く、造成コストや将来的なリスクもあるため、売却が難しいと感じる方が多い土地です。

 

しかし、「売却が難しい=売れない」というわけではありません。

 

インスペクション、安全対策、造成計画書や測量図の準備などを行うことで、買い主の不安を軽減し、売却の実現に近づけます。

 

さらに、資産活用の提案、隣地への売却、不動産買取といった複数の方法を組み合わせることで、よりスムーズな売却を目指すことができるでしょう。

 

特に、不動産買取は「価格よりスピードを優先したい」という方にとって有力な選択肢です。

 

傾斜地や崖地であっても、状況に合った戦略を取ることで、売却成功の可能性が高まります。

 

傾斜地や崖地の売却経験が豊富な不動産会社に相談してみることもおすすめです。

 

栃木県で不動産の売却を検討している方は、栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」に、ぜひご相談ください。

 

傾斜地・崖地の売却は難しい?その理由や売却前にできる対策を解説

宇都宮店 土屋 清

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