祠の撤去費用・撤去方法は?不動産売却時の注意点を解説
こんにちは!栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」の土屋です。
「自宅の敷地に祠(ほこら)があるけれど、取り除くにはどれくらいの費用がかかる?」
「撤去が可能なら、どんな手順で進めるべき?」
「そもそも、この祠は何の目的で建てられたのだろうか」
こんな疑問や不安をお持ちではありませんか?
祠は神様を祀(まつ)る神聖なものであるため、撤去する際には地域の慣習や関係者への配慮を行なった上で、適切な手順を踏むことが大切です。
今回は、不動産売却時における祠の撤去方法や撤去費用をご紹介。
祠の撤去時のトラブル対処法、不動産売却時の注意点についても詳しく解説していきます。
 
そもそも祠とは?不動産売却時に「祠」はどうするべき?
祠(ほこら)は、神や先祖の霊をまつるための小規模な社殿(神体が祭ってある建物)のこと。
神社のような大きな社殿とは異なり、家庭や地域単位で信仰の対象としてまつられている点が特徴です。
一般的には、個人の敷地内、集落の境界、峠、辻などに設置されています。
祠の形は木造や石造などさまざまで、屋根や扉が付いている場合や、小さな鳥居を伴うことも。
地域や宗派によって、形、祭神、祀り方にも違いがあります。
建立の理由も、五穀豊穣、家内安全、先祖を神としてまつる場合など、さまざま。
単なる造作物ではなく、古くから地域の信仰や生活に根付いた、神聖な場であるといえるでしょう。
そのため、不動産の売却にあたっては、祠をどう扱うかが重要なポイントになります。
祠があると不動産売却が進みにくいケースがある
祠は神聖な存在である一方で、買い主が購入をためらう原因となるかもしれません。
次のような心理的要因が重なることで、購入を見送る・価格交渉を強めるなど、不動産売買取引に影響が出る可能性があるからです。
- 「神聖なものを動かすことで災いが起きるのでは」という心理的な抵抗感
- 「撤去や移設に費用や手間がかかるのでは?」という経済的な不安
- 「勝手に撤去すると地域とのトラブルになるのでは?」という人間関係の心配
そのため、祠をどう扱うかを明確にしておくことが、スムーズな売却の第一歩です。
不動産売却時の祠の扱いは3つの選択肢から検討
不動産を売却する際に敷地内に祠がある場合、主に以下の3つの方法から選択します。
- 祠を残したまま売却する(祠をそのまま買い主に引き継ぐ)
- 祠を移設してから売却する(祠を神社や別の土地へ移す)
- 祠を撤去してから売却する(祠を解体し、更地にする)
一般的には、祠を撤去して更地にするほうが買い主の心理的な不安を解消しやすく、売却がスムーズに進む傾向があります。
一方で、残置や移設を選ぶ場合は、次の点に注意が必要です。
- 残置する場合:買い主への十分な説明と合意、維持・管理の負担の明確化が欠かせない
- 移設する場合:移設先の受け入れ確認が必要で、費用が高くなることもある
どの方法を選ぶかは、祠の由来や地域の慣習、買い主の意向によっても異なるため、事前に関係者とよく検討することが大切です。
不動産売却時の祠の撤去方法は?撤去前に必要な「御霊抜き」もご紹介
神様やご先祖の霊が宿るとされる祠は、宗教的・心理的にも特別な存在ですので、正式な手順を踏まずに撤去することは避けましょう。
祠の撤去にあたっては、基本的に次のような流れで進めます。
- 神社・寺院へ依頼し、御霊抜きの日程を決定
- 儀式の実施(お供え物として白米・酒・塩・水などを用意)
- 解体業者または自分で撤去作業
- 廃材の運搬・処分
撤去工事前には必ず「御霊抜き」が必要
祠の撤去前には「御霊抜き(みたまぬき)」という儀式を地元の神社(氏神様)に依頼するのが一般的です。
御霊抜きとは、祠や仏壇・お墓に宿る神や祖霊を新たな場所へ移し、これまでの加護に感謝を伝える儀式であり、この手順を経て初めて、「祠を取り壊すことが許される」とされています。
撤去方法①小型の祠(木祠・小型石祠)の場合
祠のサイズが小さく、台座が簡易な構造であれば、御霊抜き後に自分で撤去することも可能です。
ただし、コンクリート台座が埋め込み型の場合や、重量のある石材を扱う場合は、解体工具や人手が必要なため、無理をせず業者に依頼することをおすすめします。
撤去方法②大型の祠(石造・堅牢な構造)の場合
祠の規模が大きい場合や、しっかりした基礎を持つ石造の祠は、重機や専門技術が必要なため、解体業者への依頼が基本です。
基礎部分が深く埋まっているケースもあり、地盤に影響を与えないよう慎重な施工が求められます。
不動産売却時の祠の撤去費用の内訳・相場は?費用を抑えるコツもご紹介
祠の撤去にかかる費用は、主に次の3つの工程から成り立っています。
- 御霊抜き(儀式)
- 解体工事
- 運搬・処分
ただし、工事・運搬・処分にかかる正確な費用は、祠の大きさ・構造・立地・作業内容によって大きく異なるため、実際には現地調査による見積もりが必要です。
①御霊抜き(儀式)の費用
儀式の費用は神社によって異なりますが、神主に依頼して行う「御霊抜き」の費用は、1〜3万円程度が目安です。
お供え物(白米・酒・塩・水など)の費用や出張費を含めると、5万円前後になるケースが一般的です。
②解体工事の費用
解体工事の金額は、「作業項目」と「条件」によって決まり、主な作業項目は次の通りです。
- 作業人員・作業時間にかかる人件費
- 祠本体の解体費用
- 基礎部分の撤去費用
- 作業現場の養生・安全対策費
- 重機を使う場合の重機回送費
祠の構造・規模・立地(狭小地かどうか)・作業人数・日数などの条件によって、費用は大きく変動するため、一概に「いくらかかる」とは言えません。
ただし、目安の一つとして、祠や鳥居単体の解体には、1点あたり約3〜5万円の見積もり事例もあります。
簡易な木造祠であれば数万円台に収まることもありますが、重機が必要な石造の大型祠では、作業人数や日数に応じて数十万円に達するケースもあるでしょう。
③運搬・処分の費用
解体費用に含まれていることも多いですが、解体部材(木材・石材・コンクリートなど)の運搬費や廃棄物処理費が別途かかることがあります。
これらの費用は、以下の要因で変わります。
- 祠の構造材(石・木・コンクリートなど)の種類と量
- 処分場までの距離(運搬コスト)
- 業者ごとの廃棄物処理単価
祠の撤去費用を抑えるコツ
祠の撤去費用を抑えるためには、次のポイントを意識しましょう。
①複数の業者から見積もりを取る
業者によって費用は大きく異なるため、複数社から見積もりを取り、項目ごとの内訳を比較しましょう。
費用の合計だけでなく、「処分費別」など、条件の違いも必ず確認してください。
不明瞭な項目が多い業者は避け、内訳が明確で説明が丁寧な業者を選ぶことが安心です。
なお、祠付き物件の売却を扱った経験のある不動産会社であれば、提携先や実績のある解体業者を紹介してもらえるケースもあります。
不動産会社によって対応範囲は異なるため、依頼前に確認しておくと安心です。
②建物の解体と同時に依頼する
家屋や塀などを解体予定の場合、祠の撤去も同時に依頼すると、重機や人員をまとめて手配でき、割安な一括見積もりが可能になります。
別々に依頼するより、トータルコストを下げやすいのがポイントです。
祠の撤去時のトラブル対処法は?不動産売却の注意点も確認
 
祠の撤去は、物理的な工事というよりも、地域の信仰や歴史にも関わる慎重な対応が求められる作業です。
対応を誤ると、売却まで時間がかかったり、近隣トラブルに発展したりする可能性があるため、注意が必要です。
代表的なトラブルの例を挙げて、撤去時の対処法・不動産売却時の注意点をご紹介しましょう。
共有の祠は必ず地域や神社に確認してから撤去を
地域で共同管理している祠を、個人の判断で撤去してしまうと、地域住民から「みんなの祠を勝手に壊した」と反発を受けるトラブルにつながるおそれがあります。
撤去前には、自治会・町内会、氏子総代、地元の神社などに必ず確認しましょう。
所有や管理の範囲を明確にした上で、撤去や移設についての同意を得てから進めることが大切です。
撤去前に文化財指定・史跡指定の祠かどうか自治体に相談を
古くからある祠のなかには、文化財保護法や景観条例により、文化財や史跡に指定されている場合があります。
このような祠を許可なく撤去すると、文化財保護法違反となるおそれも。
また、祠の基礎部分が埋蔵文化財包蔵地に該当する場合は、土地の掘削に関して届け出が必要となる場合があります(文化財保護法 第81条・第93条)。
祠の撤去を検討する際は、まず市区町村の文化財課や教育委員会に相談し、指定を受けている場合は、事前の申請・許可手続きを必ず行いましょう。
撤去・御霊抜きの事実は媒介契約前に不動産会社へ共有を
祠の撤去後、近隣住民から「以前はここに祠があった」といった情報が買い主に伝わることで、心理的な不安を抱かせるケースがあります。
こうしたトラブルを防ぐためには、事前に不動産会社へ下記の情報を共有し、販売時に買い主へ丁寧に説明してもらうことが大切です。
- 祠の撤去や御霊抜きを行なった事実
- 祠の撤去後の整地状況(基礎や地盤の凹凸がないか)
また、必要に応じて、重要事項説明書に記載しておくと、契約後の「聞いていなかった」といったトラブルを防ぐことができます。
撤去費用の負担は契約前に明確化が必要
祠の撤去費用の負担について、売り主・買い主のどちらが負担するのかが曖昧なまま話を進めると、次のようなトラブルにつながることがあります。
- 買い主が「祠の撤去費用がかかるなら、その分値引きしてほしい」と値引き交渉してくる
- 契約後に撤去が必要と判明し、どちらの費用負担かで意見が食い違う
媒介契約や売買契約の前に、祠の撤去の有無と費用負担を明確に取り決めることが、トラブル防止につながります。
祠のある不動産のスムーズな売却には、実績ある不動産会社に相談を
祠の扱いは専門的な知識が必要なため、祠付き不動産の取扱実績がある不動産会社へ相談するのが安心です。
実績のある不動産会社に相談することで、地域への配慮と売却活動の両立がしやすくなります。
例えば、イエステーションでは、敷地内に祠がある不動産売却の実績があります。
詳しくは、こちらの事例をご確認ください。
祠の撤去方法・費用を把握して、不動産売却を円滑に
祠は、神様やご先祖をまつる神聖な存在であり、信仰や地域の伝統に深く結びついていいます。
そのため、適切な手順を踏まずに祠を撤去することは避けたほうが良いでしょう。
まず、売却前に「撤去・移設・残置」のいずれの対応を取るかを検討します。
特に撤去を選ぶ場合は、神主による「御霊抜き」の儀式を行うことが望ましいでしょう。
御霊抜きは、地域の神社や氏神に依頼して行うのが一般的です。
また、解体に伴う運搬・処分費は祠の大きさや材質によっても変動するため、複数業者から見積もりを取り、比較することが推奨されます。
祠撤去の際は、自治会・神社・自治体への事前相談を行い、地域の合意を得ることがトラブル回避の鍵となります。
さらに、御霊抜きや撤去の事実を不動産会社に共有し、買い主に適切に説明してもらうと安心です。
栃木県で不動産の売却を検討している方は、栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」に、ぜひご相談ください。
 
                          宇都宮店 土屋 清
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