水路に面した土地の売却は可能?成功のコツと注意点を解説
こんにちは!栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」の土屋です。
「水路に面した土地は売れにくいと聞くけれど、本当だろうか?」
「売却するときの進め方や、気を付けるべき点があれば教えてほしい」
このような疑問や不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。
実際、水路に接している土地は、一般的な土地と比べると売却が難しくなることがあります。
しかし、土地の特徴を正しく理解し、適切な方法で準備を進めれば、スムーズに売却できる可能性は十分にあります。
そこで今回は、水路に面した土地が売れにくいといわれる理由や、売却を成功させる方法、売却の流れをご紹介。
水路に面した土地を売却する際のトラブルを避けるための注意点まで、わかりやすく解説していきます。
水路に面した土地の特徴は?売却が難しいと言われる理由も確認
まずは、水路に面した土地の特徴と、「売却が難しい」といわれる理由について確認していきましょう。
水路に面した土地の特徴
水路に面した土地の特徴は、オープンな水路(開渠)なのか、蓋がされて道路のようになっている暗渠なのかといった水路の種類や、周辺の住宅密度、道路の状況といった周辺環境で異なります。
一般的には、下記のようなメリット・デメリットが挙げられます。
【メリット】
- 隣家との距離が取りやすい
- 騒音が届きにくい
- 開放感・風通しの良さがある
【デメリット】
- 建築基準法上の制限がかかり、新築や建て替えができない場合がある
- 地盤が弱い傾向がある
- 浸水・洪水リスクを心配されやすい
- 湿気・害虫など、暮らしやすさへの不安が出やすい
水路を挟むことで隣家との距離が保たれ、視界が抜けて風通しが良くなるほか、隣家の生活音が直接響きにくいという利点があります。
また、水の流れる風景に、開放感や心地良さを感じられる点を魅力と捉える方もいます。
一方で、水路の近くは地盤がゆるみやすかったり、大雨のときに水があふれやすいエリアでは浸水リスクが高くなったりすることも。
湿気によって建物が傷みやすい、害虫が発生しやすいなど、生活への影響も懸念されやすいポイントです。
水路に面した土地の売却が難しいと言われる理由
水路に面している土地の場合、特に不安視されやすいのが「接道義務を満たしているか」、つまり再建築が可能な土地かどうかという点です。
接道義務とは、「建物を建てる土地は、建築基準法上の道路(幅4m以上)に2m以上接していなければ建築できない」という決まりのことを指します(建築基準法第42条・43条)。
水路は、建築基準法上の「道路」としては原則扱われません。
そのため、水路にしか面していない土地は「道路に接していない土地」と判断され、接道義務を満たしていないとされる場合があります。
接道義務を満たしていない土地は「再建築不可」と判断され、新築や建て替えが制限されるケースがあり、買い手にとって大きな不安要素となる可能性があります。
こうした法的な制限や、水路に面した土地特有のデメリットから、一般的な土地よりも買い手が慎重になりやすく、「売却が難しい」といわれる理由の一つになっているのです。
接道義務について詳しく知りたい方は、「接道義務とは?違反になるケースや例外についても解説」もあわせてご確認ください。
水路に面した土地の売却を成功させる方法
水路に面した土地は一般的にどのような売却方法があるのか、売却を成功させるためのポイントとあわせてご紹介します。
売却方法①居住用として売る
水路に面している土地であっても、別の辺が建築基準法上の道路に接していれば、接道義務を満たすため、居住用として建築・売却が可能です。
接道義務を満たしていない場合は「橋」を架ける方法も
一方で、水路にのみ面している土地は、そのままでは接道義務を満たさないと判断されるケースが一般的です。
その場合は、自治体や水路管理者の許可(占用許可)を得て、道路側から水路をまたぐ「乗入れ用の橋」を設置する方法を検討することがあります。
橋が完成し、行政上「道路と敷地が接している」と認められれば、建築が可能になるケースがあります。
ただし、すべての水路で許可が下りるわけではなく、管理者の方針や水路の規模・用途によって判断が異なるため、事前確認が欠かせません。
売却を成功させるには、水路に面した土地の売却実績がある不動産会社に相談を
居住用として水路に面した土地を売る場合は、最初に「どれくらいの価格で売れる可能性があるのか」を正しく把握することが、成功につながりやすいポイントです。
そのため、水路に面した土地の売却実績がある不動産会社への相談・査定依頼をおすすめします。
というのも、売り主には買い主に物件情報を告知する義務があり、水路に関するデメリットについては価格交渉の材料になりやすいためです。
不動産会社に、水路のリスクや法的条件も含めた査定をしてもらえば、適正な価格(=市場で受け入れられやすい価格)を把握しやすくなり、交渉で行き詰まるリスクも抑えやすくなります。
また、仲介だけでなく、買取実績が豊富な会社なら、水路に面した土地や、条件によっては再建築が難しい土地でも買取できる場合があります。
なお、イエステーションでは、水路跡がある土地や境界が不明な土地など、事前調査が必要なケースについてのご相談にも対応しています。
詳しくは、こちらの事例をご確認ください。
【H様】境界が不明で、昔は水路が流れていた土地です。販売できるかどうか、見て欲しいです。
売却方法②非居住用として売る
居住用としての売却が難しい場合でも、用途を非居住用に切り替えれば買い手が見つかるケースもあります。
例えば、次のような用途であれば、水路に面していても支障が少ないため、土地の活用目的が明確な人にとっては魅力に映ることがあります。
- 駐車場
- 資材置場
- 倉庫用地
- 農業用地
用途地域や法令の制限を確認した上で、居住用にこだわらず視野を広げることで、水路に面した土地の売却における選択肢は広がります。
水路に面した土地の売却の流れは?必要な準備も確認
水路に面した土地の売却の流れは、通常の土地売却と共通する部分もありますが、水路特有の確認事項がある点が特徴です。
一般的には、次のように進みます。
①土地と水路の状況を調査する(事前準備)
まずは、土地の基本情報と、水路に関する制限を把握します。
【準備・確認すること】
- 登記簿謄本、公図、地積測量図などの取得
- ハザードマップで浸水履歴や想定浸水区域を確認
- 地盤の強さ、護岸の状態、過去の災害の有無
- 接道義務を満たしているか(敷地が道路ではなく、水路のみに接していないか)
この段階で、水路に橋を架けることで接道義務を満たせる可能性があるかどうかも、あわせて確認しておきます。
事前に確認を済ませておけば、買い手や不動産会社に対して土地の状況を説明しやすくなり、売却活動もスムーズに進めやすくなります。
なお、水路に面した土地では、境界が曖昧になっているケースも少なくありません。
境界が確定していない場合の売却方法については、「境界トラブルで境界未確定の場合の売却方法は?多い事例や解決策も紹介」で詳しく解説しています。
②役所で法的制限を確認する
水路に関する許可や建築制限について、土地が所在する自治体役所にて確認します。
【準備・確認すること】
- 橋(乗入れ)設置の許可が取れるか(接道義務を満たせる可能性があるか)
- 橋を設置する場合の構造条件や必要書類
- 水路占用許可の条件(管理者が市・県・土地改良区などで異なる)
- 土地の用途地域、建ぺい率、容積率などの建築制限
【橋を設置する場合の主な必要書類】
- 水路占用許可申請書
- 位置図、平面図、構造図
- 現況写真
申請に必要な書類や条件は自治体によって異なるため、事前に確認しておくと安心です。
③不動産会社に査定を依頼する
必要な準備や資料が揃ったら、不動産会社に査定を依頼します。
水路に面した土地は評価が分かれやすいため、できれば複数の不動産会社に依頼し、査定額や売却方針を比較してみると良いでしょう。
④売却活動を行い、買い主が決まったら売買契約を締結する
販売開始後の流れは、基本的に一般的な土地売却と同じです。
土地の特徴や水路に関する条件を正確に伝えながら買い手を探し、条件がまとまれば売買契約を締結します。
その後、売却代金の決済を行い、土地の引き渡しをもって売却完了となります。
土地売却の流れは「土地売却の流れをチェック!費用や税金、高く売るコツもご紹介」で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご参照ください。
水路に面した土地を売却する際、トラブルを避けるための注意点
水路に面した土地を売却する場合は、トラブルを避けるためにも、下記の注意事項を事前に押さえておきましょう。
①橋の設置費用は「誰が負担するか」を明確にする
接道義務を満たすために橋(乗入れ)を設置する場合、「工事費用は売り主が負担するのか、買い主が負担するのか」を事前に決めておかないと、契約直前でトラブルになる可能性があります。
「橋を付けた状態で売るのか」「設置費用分を売却価格から値引きで調整するのか」など、契約前に整理しておきましょう。
②水路占用許可と「占用料」の扱いを事前に確認する
水路を橋でまたぐ場合や、暗渠部分に乗り入れる場合には、自治体の「水路占用許可」が必要です。
この許可は自治体ごとに取り扱いが異なり、買い主へそのまま引き継げない場合があるため、売却前に確認しておくことが大切です。
さらに見落としがちなのが、占用料(使用料)が発生する自治体があるという点です。
占用料について説明がないまま契約すると、「聞いていなかった」という不満につながりやすくなります。
占用料の有無・金額・支払い方法なども事前に整理し、買い主へ必ず伝えておきましょう。
③告知義務を怠ると、契約後のトラブルにつながる
水路に面した土地には、居住環境や建築可否に関わるリスクがあるため、売り主には次のような点を買い主へ告知する義務があります。
- 過去の浸水履歴
- 地盤の状態、湿気・害虫の発生状況
- 接道義務を満たしているか(橋の設置が必要かどうか)
- 水路・護岸の状態や管理者
- 建築上の制限内容
これらの告知義務を怠ると、契約後に「知っていたら契約しなかった」として、「契約不適合責任」を問われる可能性があり、契約解除や損害賠償を求められることもあります。
情報をまとめて書面に整理し、不動産会社と相談しながら重要事項説明に反映させておくと、安全に売却を進めやすくなります。
なお、イエステーションでは、浸水ハザードに該当する土地の売却相談も多数お受けしています。
実際に売却に成功した事例もありますので、あわせてご確認ください。
【S様】隣地まで浸水のハザードマップに載っています。 こういった土地の売却は可能でしょうか?
④契約不適合責任の範囲を事前に確認する
水路に面した土地に限った話ではありませんが、売買契約後のトラブル発生を回避するためには、「どこまで売り主が責任を負うのか」を契約書で明確にしておく必要があります。
不動産会社に「どこまで責任を負う内容が適切か」「免責にできる部分はあるか」などを確認しておくことで、安心して契約に進みやすくなります。
水路に面した土地の売却は、適切な準備で成功につなげよう
水路に面した土地は、建築制限や浸水リスクなど確認すべき点が多いものの、接道を確保する方法を把握し、土地の現況や境界、水路の占用状況などを整理しておけば、売却できる可能性は十分にあります。
また、居住用として売りにくい場合でも、駐車場や資材置場など、非居住用途としての需要が生まれるケースもあります。
土地の使い方の選択肢を広げることで、買い手が見つかりやすくなるでしょう。
水路に面した土地の売却では、全体の流れと必要な準備を理解し、告知事項や費用負担を明確にしておくことが、トラブルを避けてスムーズに進めるポイントです。
不安な点がある場合は、水路に面した土地の売却実績がある不動産会社に相談しながら進めることで、売却の成功につながりやすくなるでしょう。
栃木県で不動産の売却を検討している方は、栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」に、ぜひご相談ください。
宇都宮店 土屋 清
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