相続人がいない空き家の対処法は?原因と対策を解説
こんにちは。栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」の土屋です。
「親が亡くなったけれど、家を相続する人がいない...」
「自分に何かあったとき、実家が空き家になってしまうのでは?」
「相続人がいない空き家を見つけたけれど、誰に相談すれば良いの?」
このような不安や疑問をお持ちではありませんか?
実は、相続人がいない空き家は最終的に国(国庫)に帰属することになりますが、それまでの手続きや管理には一定の期間と対応が求められます。
そこで今回は、相続人がいない空き家とはどのような状況なのか、その対処法や予防策について、わかりやすく解説していきます。
将来的に空き家になる可能性がある方や、すでに相続人がいない空き家でお困りの方は、ぜひ参考にしてください。

「相続人がいない空き家」とは?どんなケースがある?
「相続人がいない空き家」とは、法律上「相続人不存在」とされる状態にある不動産のことを指します。
被相続人(亡くなった方)の財産を引き継ぐ相続人が誰もいないため、相続手続きが進められず、空き家として放置されてしまうケースです。
では、どのような場合に「相続人不存在」と判断されるのでしょうか。
主なケースとしては、次の3つが挙げられます。
- 被相続人に法定相続人が誰もいない
- 相続人全員が相続放棄をした
- 相続人と連絡が取れない(所在不明)
最も典型的なケースは、被相続人に配偶者や子ども、兄弟姉妹といった法定相続人が存在しない場合です。
また、相続人は存在していても、全員が相続放棄をした場合も「相続人不存在」として扱われます。
特に、遠方の不動産や老朽化により管理が困難な物件、借金などのマイナス財産がある場合に相続の放棄が起こりやすい傾向があるでしょう。
さらに、相続人はいるものの連絡が取れない・所在が不明といった理由で相続手続きが進まないケースもあります。
長期間にわたり消息が不明な場合には、「失踪宣告」を経て法律上死亡したとみなされ、「相続人不存在」とされることがあります。
相続人がいない空き家は誰のものになる?
相続人がいない空き家は、最終的に国の所有(国庫帰属)になります。
民法第959条では「処分されなかった相続財産は国庫に帰属する」と定められており、残された不動産もその例外ではありません。
相続人がいない場合の手続きの流れ
相続人がいない場合でもいくつかの手続きを経て、最終的に空き家などの財産は国庫に帰属します。
1. 家庭裁判所による「相続人不存在」の確認
家庭裁判所が相続人の有無の調査を行い、相続人がいない「相続人不存在」であることを正式に確認します。
2. 相続財産の清算人(旧相続財産管理人)の選任
家庭裁判所が相続財産の清算を担当する相続財産の清算人(旧相続財産管理人)を選び、空き家などの財産(遺産)を管理・清算する役割を任せます。
3. 財産の管理・清算
相続財産清算人が財産の保全、債務の弁済、不要資産の処分などを進めます。
4. 特別縁故者への分与の可能性
相続人がいない場合、被相続人と生前に特別な関係があった方(例えば、内縁の配偶者や長年介護をしていた方など)は、「特別縁故者」として家庭裁判所に申し立てることで、相続財産の全部(または一部)を受け取れる可能性があります。
この制度は相続財産が国庫に帰属する前に、被相続人と特別な縁故があった方に配慮して相続財産を分与する仕組みであり、民法第958条の2に基づいています。
5. 残余財産の国庫帰属
特別縁故者への分与後も財産が残っている場合は、最終的に国に帰属します。
ただし、この手続きの流れは、相続人がいないからといって自動的に行なわれるものではありません。
誰かが家庭裁判所へ申し立てを行うなど必要な手続きを取らなければ、空き家はそのまま放置され、所有者不明土地として残されるリスクもあります。
次のブロックでは、相続人でない人が、相続人のいない空き家に対して取れる具体的な対処法についてご紹介します。
相続人がいない空き家の対処法をご紹介
相続人がいない空き家は、誰かが家庭裁判所に申し立てを行わなければ、管理されずに放置される可能性があります。
この場合の対処法としては、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に「相続財産清算人(旧相続財産管理人)の選任」を申し立てることです。
相続財産清算人とは、被相続人(亡くなった方)の財産を管理・清算し、債権者への支払いなどを行なった後、残った財産を国庫に帰属させる役割を担う人を指します。
誰が申し立てできるのか?
相続財産清算人の申し立ては、次の立場の人が行えます。
- 利害関係人(被相続人の債権者、特別縁故者、特定遺贈を受けた人など)
- 検察官
また、相続放棄をした元相続人でも、空き家の管理責任が一時的に残ることがあります。
例えば、空き家を管理・占有しているなどの事情があれば、利害関係人として認められる場合もあるので確認してみましょう。
相続放棄しても一定の管理責任が残る点については、「空き家を相続放棄した場合の注意点を解説!管理責任はどうなる?」で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご参照ください。
なお、所有者不明の土地や空き家が、防災・衛生・治安など地域の公益に影響を及ぼす恐れがある場合には、自治体(市町村長)が利害関係人として認められ、家庭裁判所に相続財産清算人の選任を申し立てるケースもあります。
申し立ての費用目安と必要書類も確認
家庭裁判所に相続財産清算人の選任の申し立てを行うには、主に以下の費用や書類が必要です。
【費用の目安】
- 収入印紙:800円
- 郵便切手:数千円程度(家庭裁判所によって異なるため要確認)
- 官報公告料:5,000円程度
- 予納金:20万〜100万円程度(財産の内容・状況によって異なり、事案ごとに判断される)
【必要書類・申し立て添付書類の例】
- 申立書(裁判所書式あり)
- 被相続人の戸籍謄本・住民票除票
- 財産を証明する書類(例:不動産登記事項証明書など)
- 利害関係を示す資料(例:金銭消費貸借契約書など)
※事案によっては、上記以外の書類が求められる場合もあります。
詳細は、被相続人の最後に住んでいた住所地を管轄する家庭裁判所に確認しましょう。
申し立て後の流れと相談先について
申し立て後は、家庭裁判所によって相続財産清算人が選任され、財産の清算手続きが進められます。
手続きに不安がある場合や判断に迷う点がある場合は、弁護士や司法書士といった専門家に相談することをおすすめします。
相続人がいない空き家にしないための対策

相続人がいない空き家は、将来適切に扱われず、放置されてしまう恐れがあります。
その結果、管理責任や維持費の負担が第三者に発生したり、地域に迷惑をかけたりする可能性があります。
こうしたリスクを回避するには、次の2つの対策が有効です。
対策①所有している空き家を売却する
空き家をそのまま残すよりも、生前に売却して現金化するのが最も確実な対策です。
特に、将来的に誰かに引き継がれない可能性がある場合は、事前の対処が重要になります。
売却には、次のようなメリットがあります。
- 管理や維持費の負担がなくなる
- 老後資金として活用できる
- 空き家の老朽化や資産価値の低下を防げる
- 相続人がいないことによる複雑な手続きを防げる
特に、現在空き家で将来使う予定がない場合は、早めに売却することで資産の有効活用ができ、将来的なトラブルも避けられます。
また、空き家を長期間放置すると、老朽化や資産価値の低下が避けられません。
早めに手放すことで、より良い条件で売却できる可能性が高まるでしょう。
対策②遺言書を作成する
「家を売らずに残したい」と考えるなら、遺言書を作成して財産の承継先を決めておく方法もあります。
遺言書を作成すれば、法定相続人がいない場合でも特別縁故者などに財産を遺すことが可能になります。
特に、公正証書遺言は法的効力が高く、相続手続きもスムーズに進みやすいため、安心です。
迷うなら専門家に相談がおすすめ
「売却か承継か、どちらが良いのかわからない…」と悩む場合は、不動産会社や法律の専門家に相談することをおすすめします。
空き家の査定を依頼すれば、下記のような情報が得られるからです。
- 今売るとどのくらいの価格になるか
- このまま所有し続けた場合の管理費や維持負担
- 地域周辺の空き家市場の動向や将来的な価値変動
これらを比較検討することで、「売却すべきか」「承継先を決めて残すべきか」の判断がしやすくなるでしょう。
まずは「査定だけ」でも気軽に相談してみることが、将来の安心につながります。
相続人がいない空き家は早めの対策がおすすめ
相続人がいない空き家は、最終的に国に帰属しますが、それまでの手続きは煩雑で時間がかかり、場合によっては空き家が放置されてしまうリスクもあります。
このような事態を防ぐには、生前に所有している空き家を売却する、遺言書を作成して承継先を決めておくなど、元気なうちから準備を進め、対策を取ることがおすすめです。
売却か承継するかで迷った場合は、専門家に相談して不動産の価値や管理にかかる負担を把握しておくと、より適切な判断がしやすくなります。
まずは、空き家の査定の相談をしてみることが、将来の安心につながるでしょう。
栃木県で不動産の売却を検討している方は、栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」に、ぜひご相談ください。

宇都宮店 土屋 清
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