不動産売却時の名義変更手続きを解説!流れや費用を詳しく紹介
こんにちは。栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」の土屋です。
「不動産を売却するとき、名義変更はどうすれば良いの?」
「名義変更の手続きって複雑で難しそう...」
「費用はどのくらいかかるのだろうか?」
このような疑問や不安をお持ちではありませんか?
実際のところ、不動産売却時の名義変更について正しく理解している方は意外と少なく、手続きが分からずに戸惑うケースも少なくありません。
そこで今回は、不動産売却における名義変更の必要性から具体的な手続きの流れ、必要書類から費用の目安まで、わかりやすく解説します。

不動産売却における名義変更の必要性とは?
不動産を売却する際には、登記簿上の所有者(名義)を売り主から買い主へ変更する「名義変更(正式には所有権移転登記)」が必要です。
これは、売買によって所有者が変わった事実を法的に証明し、公的に記録するための重要な手続きです。
売買契約自体は登記がなくても法律上は成立しますが、登記を行わなければ、買い主は法的な所有者として認められません。
登記を怠ると、次のようなリスクが生じます。
- 第三者に対して、買い主が正式な所有者であることを主張できない
- 税金や管理義務が旧所有者(売り主)に残る可能性がある
- 担保設定や転売など、権利の処分ができない
こうしたトラブルを避けるために、通常は不動産の引き渡しと同時に所有権移転登記(名義変更)を行うのが一般的です。
なお、不動産売却時に名義変更が必要となるのは、登記簿上の名義と実際の売り主が一致していないケースです。
具体的には以下のような例が挙げられます。
- 親から相続した不動産を、まだ自分名義にしていない
- 共有名義の物件だが、自分一人で売却したい
- 離婚後も元配偶者の名義のままになっている
これらの場合は、まず登記名義を自分に変更してからでないと、不動産売却の手続きを進めることはできません。
とはいえ、名義人以外の立場で不動産を売却する必要があるケースもあるでしょう。
その場合はぜひ、「名義人以外の不動産売却を解説!売却方法や共有名義の場合の対処法も」もあわせてご覧ください。
不動産売却における名義変更の流れと必要書類を解説
不動産売却にともなう名義変更は、通常、売買契約の締結から物件の引き渡しまでの間に準備を進め、引き渡しと同時に完了させるのが一般的です。
売却手続きを滞りなく進めるためには、決められた流れに沿って準備を進めることが大切です。
ここでは、不動産売却における名義変更の一般的な手続きの流れと、売り主が準備すべき必要書類について解説します。
名義変更の基本的な流れ
所有権移転登記は、不動産売却において、最終的に「所有者を買い主に変更する(買い主へ所有権を移す)」ための重要な手続きです。
名義変更そのものは登記申請時に完了しますが、その準備は売買契約の締結時点からすでに始まっています。
以下に、売買契約から登記完了までの一般的な流れを時系列でご紹介します。
①売買契約の締結
まず、売り主と買い主の間で不動産売買契約を締結します。
この時点で、決済日(残代金の支払日)や物件の引き渡し日が確定します。
契約から引き渡しまでには、通常約1カ月程度の猶予があります。
この期間中に、必要書類を準備しておきましょう。
②必要書類の準備
名義変更(所有権移転登記)に必要な書類を、売り主側で準備します。
役所への申請が必要な書類も多いため、早めに取りかかることが重要です。
もし売却する不動産に住宅ローンが残っている場合は、抵当権の抹消登記も必要となります。その際は、事前に金融機関との調整を済ませておきましょう。
③決済・引き渡し
決済当日は、残代金の授受と同時に物件の引き渡しが行われます。
この場には司法書士が立ち会って、売り主・買い主双方の本人確認および書類の確認を行います。
④登記申請
書類に不備がなければ、司法書士がその日のうちに法務局へ所有権移転登記の申請を行います。
登記の申請から完了までまでには、通常1〜2週間程度かかります。
この手続きが完了すると、法的にも買い主の名義に不動産の所有権が移転したことが記録され、名義変更は完了となります。
売り主が準備する主な書類
売り主側で準備する主な書類は、以下の通りです。
- 登記識別情報(登記済権利証):現在の所有者であることを証明する重要書類
- 印鑑証明書:発行から3カ月以内のもの
- 本人確認書類:運転免許証やマイナンバーカードなど
- 固定資産評価証明書:最新年度のもの
- 住民票:登記上の住所と現住所が異なる場合に必要
特に印鑑証明書は有効期限があるため、取得時期に注意しましょう。
引き渡しの直前になって慌てないよう、あらかじめ準備しておきましょう。
また、登記済権利証(または登記識別情報)を紛失している場合でも、司法書士に相談すれば本人確認情報の提供によって代替手続きが可能です。
不動産売却の名義変更にかかる費用もチェック
不動産売却にともなう名義変更では、いくつかの費用が発生します。
費用の内訳や誰が支払うのかをあらかじめ把握しておけば、余計なトラブルを防ぎ、安心して取引に臨めます。
ここでは、名義変更にかかる主な費用項目とその相場、売り主が費用を負担するケース、費用を抑えるためのポイントについて解説します。
名義変更にかかる主な費用
不動産売却において名義変更(所有権移転登記)にかかる代表的な費用は、以下の3つです。
①登録免許税
法務局への登記申請時に課される税金で、不動産の固定資産税評価額に対して課税されます。
一般的な所有権移転登記(売買による場合):税率 2.0%
ただし、土地については、2026年(令和8年)3月31日まで、軽減税率1.5%(1,000分の15)が適用されます。
【計算例】
固定資産税評価額が2,000万円の土地の場合
登録免許税=2,000万円 × 1.5% = 30万円
②書類取得費用
印鑑証明書や固定資産評価証明書などの公的書類の発行手数料として、数百円〜数千円程度がかかります。
③司法書士報酬
登記手続きや書類作成を司法書士に依頼する場合、報酬の相場は3〜7万円程度です。
必要書類の取得代行を含めると、別途費用が加算される場合もあります。
売り主が費用を負担するケースもある
売り主から買い主への名義変更にかかる費用は、一般的には買い主が負担するのが慣例です。
これは、名義変更によって新たに所有権を得るのが買い主であり、直接的な恩恵を受けるためです。
ただし、費用負担は契約によって決定されるため、場合によっては売り主が一部または全額を負担するケースもあります。
また、売却の前提として売り主自身に名義変更が必要な場合には、以下のような費用が売り主側に発生します。
- 相続登記がまだ済んでいない場合
- 共有名義の一部を単独で売却する場合
- 離婚後、名義を元配偶者から変更していない場合
これらのケースはいずれも、所有権を整理するために登録免許税や司法書士報酬が必要となります。
あらかじめ費用の目安を確認し、資金計画に反映させましょう。
相続登記については、「相続登記の必要書類をケースごとにご紹介!登記方法や費用面も解説」で解説しています。
不動産売却の名義変更にかかる費用を抑えるためのポイント
不動産売却の名義変更にかかる費用を少しでも抑えたい場合は、以下のようなポイントを押さえておくと良いでしょう。
①必要書類は自分で取得する
司法書士に取得代行を依頼すると、その分の手数料がかかります。
時間が許すなら、ご自身での取得も検討してみましょう。
②複数の司法書士に見積もりを依頼する
司法書士の報酬額は事務所によって異なるため、複数の事務所で見積もりを比較することがコスト削減につながります。
大幅な節税にはなりませんが、細かな費用の見直しでも安心感は大きくなります。
不明点がある場合は、早めに不動産会社や司法書士に相談することをおすすめします。
不動産売却の名義変更は自分でできる?

不動産の名義変更(所有権移転登記)は、自分で行うことも可能です。
不動産登記は、法務局へ「登記申請書」と必要書類を提出することで完了します。
売り主と買い主が協力し合えば、司法書士に依頼せず、個人で手続きすることも制度上は可能です。
特に、以下のような条件がそろえば、自力での登記も現実的です。
- 物件の権利関係が単純(相続や共有名義の整理などが不要)
- 必要書類がすべてそろっている
- 時間に余裕があり、自分で調査・準備できる
法務局では、登記申請書の記載方法や提出手順の案内も行なっているため、事前に相談してから進めることも可能です。
名義変更は自分でも可能だが、安心を求めるなら専門家に依頼がおすすめ
不動産売却時の名義変更(所有権移転登記)は、自分でできるケースもありますが、司法書士などの専門家に依頼するのが一般的かつ安心な方法です。
その理由は、以下のような点にあります。
- 書類の不備や記載ミスによる申請却下を防げる
- 登記識別情報や印鑑証明書など、重要書類の管理を任せられる
- 所有権移転だけでなく、抵当権抹消登記や住所変更登記なども一括で対応してくれる
- 決済・引き渡しの当日に登記を完了させる「同日申請」の段取りを任せられる
万が一、登記が完了せず、買い主とのトラブルに発展するようなことがあっては、大きなリスクです。
どうしてもコストを抑えたい場合や、手続きが比較的簡単なケースでは、事前に法務局に相談することをおすすめします。
ただし、法務局は「代行」はできません。
あくまで「助言」しかできないため、最終的にはご自身の責任で手続きを進める必要があります。
無理に自分で進めて失敗するよりは、最初から専門家に相談しておくほうが、結果的にスムーズかつ安心です。
不動産売却の名義変更は、適切な手続きで安心・確実な取引を
不動産売却における名義変更は、「所有権移転登記」という重要な手続きです。
法律上の義務ではないものの、売買にともなう名義変更は事実上必須であり、行わなければ買い主が法的に所有権を取得したことになりません。
手続きには登録免許税や司法書士報酬などの費用がかかりますが、必要な準備と専門家のサポートを活用することで、スムーズかつ安心・確実な売却が可能になります。
書類の準備から登記申請まで、売り主・買い主それぞれが役割を理解し、協力して進めることで、トラブルのない円滑な取引が実現します。
栃木県で不動産の売却を検討している方は、栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」に、ぜひご相談ください。

宇都宮店 土屋 清
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