不動産売却の基礎知識

不動産売却にかかる消費税とは?課税・非課税を徹底解説

こんにちは。栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」の土屋です。

 

「不動産を売却すると消費税はかかるのだろうか?」

「個人で売る場合と法人で売る場合で、何か違いがあるのかな?」

 

このような疑問をお持ちではありませんか?

 

実は、不動産売却における消費税の扱いは、売り主が個人か法人か、また不動産の種類によっても課税の有無が異なります。

 

今回のコラムでは、不動産売却時の消費税について、課税対象になるケースと非課税になるケースをわかりやすく解説します。

 

また、不動産の売却時に消費税負担を抑えるためのポイントもあわせてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

消費税

 

 

 

不動産売却に消費税はかかる?課税対象を徹底解説

消費税は、事業として行う取引に対して課税される税金です。

 

不動産売却の場合、以下の基本ルールが適用されます。

  • 消費税の税率:現在10%(国税7.8%、地方消費税2.2%)
  • 課税対象:「事業として」行う取引(個人の生活用資産の売却は対象外)
  • 土地の売却:消費税は非課税
  • 納税義務者:課税事業者のみ(免税事業者は納税不要)

 

これらの基本ルールを踏まえて、具体的にどのようなケースで消費税がかかるのか、かからないのかを詳しく見ていきます。

 

不動産売却で消費税の課税対象になるもの

不動産売却において、以下のケースでは消費税が課税されます。

  • 事業用の建物の売却(売り主が課税事業者の場合)
  • 仲介手数料
  • 司法書士への報酬
  • ローンに関する手数料

 

それぞれの項目について詳しく見ていきましょう。

 

事業用の不動産(建物)の売却

事業用の不動産、特に建物部分を売却する場合、消費税の課税対象となります。

ただし、これは売り主が消費税の納税義務がある「課税事業者」である場合に限ります。

 

【課税事業者となる条件】

  • 個人事業主:前々年の課税売上高が1,000万円を超える場合
  • 法人:前々事業年度の課税売上高が1,000万円を超える場合

 

参照:国税庁「No.6501 納税義務の免除

 

例えば、アパートやマンションなどの賃貸物件を所有していて、それを売却する場合、課税事業者であれば建物部分に消費税がかかります。

 

このほか、適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)は、基準期間における課税売上高にかかわらず納税義務は免除されないため、消費税を納めることになります。

 

仲介手数料

不動産を売却する際、多くの方は不動産会社に仲介を依頼します。

このときに支払う仲介手数料は、消費税の課税対象です。

 

仲介手数料には宅地建物取引業法で上限が定められており、売却価格に応じて段階的な割合が設定されています。

 

【不動産売買の仲介手数料の上限額(税抜)】

  • 売却価格が200万円以下の部分:売却価格の5%
  • 売却価格が200万円超〜400万円以下の部分:売却価格の4%
  • 売却価格が400万円超の部分:売却価格の3%

 

出典:国土交通省「宅地建物取引業者が宅地または建物の売買等に関して受けることができる報酬の額

 

さらに、この上限割合に消費税(10%)が加算されるということです。

 

仲介手数料について、詳しくは「不動産仲介とはどんな仕組み?流れや仲介手数料の目安などを解説!」で解説していますので、ぜひあわせてご参照ください。

 

【2024年7月1日改正】空き家等に関する仲介手数料の特例についても確認

2024年6月21日「不動産業による空き家対策推進プログラム」が策定され、空き家等に係る媒介報酬規制の見直しがありました(2024年7月1日以降施行)。

 

空き家などの流通促進を目的に、一定の条件を満たす場合には仲介手数料の上限に特例が適用されるようになっています。

 

詳細は、国土交通省「不動産業による空き家対策推進プログラムについて」をご確認ください。

 

司法書士への報酬

不動産売却の際には「所有権移転登記」が必要となり、多くの場合、この手続きは司法書士に依頼することになります。

この司法書士への報酬も消費税の課税対象です。

 

ローンに関する手数料

住宅ローンが残っている不動産を売却する場合、ローンを完済するための手続きが必要です。

金融機関によっては手数料が発生する場合があり、この手数料も消費税の課税対象となります。

 

そのほかにも、ローンの借り換えやその他手続きに関連して発生する各種手数料にも消費税がかかることがあります。

 

不動産売却で消費税の課税対象にならないもの

以下のケースでは、不動産売却時に消費税は課税されません。

  • 非業務用不動産の売却
  • 土地の売却
  • 免税事業者による不動産売却

 

それぞれの詳細について解説します。

 

非業務用不動産の売却

個人が住居用として使用していた不動産(自宅や別荘など)を売却した場合、消費税は課税されません。

これは、個人が事業目的ではなく、生活の場として使用していた不動産だからです。

 

課税事業者である個人事業主や法人であっても、自宅や別荘など住居用途(生活用資産)で使用していた不動産の売却代金は非課税扱いとなります。

 

土地の売却

土地の売却代金は消費税の課税対象ではありません。

土地は自然資源であり「消費される財」という性質を持たないため、非課税とされています。

 

例えば、不動産の売却代金が4,000万円で、そのうち建物が2,500万円、土地が1,500万円だった場合、消費税の課税対象となるのは建物の売却価格2,500万円のみとなります。

 

免税事業者による不動産売却

個人事業主や法人であっても、「免税事業者」であれば、不動産売却に消費税は課税されません。

 

免税事業者とは、前々年度の課税売上高が1,000万円以下の事業者を指します。

 

ただし、不動産売却によって課税売上高が1,000万円を超えると、翌年または翌々年には課税事業者となり、その期間中の売却は消費税課税の対象となる可能性があります。

 

 

個人と法人で違う?不動産売却時の消費税の仕組み

不動産売却時の消費税の扱いは、売り主が個人か法人かによって異なります。

 

個人が不動産を売却する場合

個人の不動産売却における消費税の扱いは以下のとおりです。

  • 自宅や別荘など住居用不動産:消費税はかからない
  • 事業用不動産(賃貸物件など):課税事業者の場合、建物部分に消費税がかかる
  • 土地部分:消費税は非課税となる

 

例えば、会社員が10年間住んでいたマンションを3,000万円で売却した場合、住居用不動産になるため、消費税は発生しません。

 

一方、個人事業主が事務所として使用していた建物を5,000万円(土地3,000万円、建物2,000万円)で売却した場合、課税事業者であれば、建物部分に200万円※の消費税がかかります。

 

※建物価格(2,000万円)×消費税率(10%)=消費税額

 

法人が不動産を売却する場合

法人の不動産売却における消費税の取り扱いは以下のとおりです。

  • 課税事業者である法人:建物部分に消費税がかかる
  • 免税事業者である法人(課税売上高1,000万円以下など):建物部分についても消費税の課税義務がないため、消費税は課されない

 

土地部分は、課税事業者・免税事業者を問わず非課税です。

 

また、法人が売却する不動産の場合、自社ビルや社員寮など用途にかかわらず、建物部分は原則として課税対象となります。

 

例えば、課税事業者であるA社が社員寮を8,000万円(土地5,000万円、建物3,000万円)で売却した場合、建物部分に300万円の消費税が発生します。

 

具体例もいくつか紹介しますので、お役立てください。

  • 賃貸マンション:課税事業者が売却すると建物部分に消費税がかかる
  • 店舗兼住宅:店舗部分のみが課税対象、住居部分は非課税
  • 駐車場用地:更地は非課税。精算機など設備が設置されている場合には、設備に対して消費税がかかることがある

 

 

不動産売却の消費税を抑えるには?節税のポイント

ポイント

不動産を売却する際、「消費税負担を少しでも軽減したい」と考える方も多いのではないでしょうか。

特に事業用不動産を売却する場合、高額な消費税が発生するケースもあり、しっかりと対策を考えることが大切です。

 

節税のポイントを1つずつ解説していきましょう。

 

1. 免税事業者の期間を活用する

免税事業者である期間に売却すれば、建物部分に対して消費税は課されません。

 

そのため、売上が少ない年の翌年や新規開業後2年間など、免税事業者として売却できるタイミングを活用することで、消費税負担を抑えることが可能です。

 

ただし、売却のタイミングを意図的に操作すると税務上のリスクが生じるケースもあります。

 

売却の時期や方法に迷った場合には、税理士や不動産会社に相談しながら計画を立てると安心です。

 

不動産会社であれば、税務だけでなく、売却戦略全体についてサポートを受けられる点もメリットです。

 

2. 建物と土地の価格を適切に分ける

不動産売却では、建物部分にのみ消費税が課税され、土地部分は非課税です。

そのため、土地の価格を適正に評価し、建物部分としっかり区別する(按分)ことで、課税対象となる建物部分の消費税を抑えることができます。

 

売却価格には消費税が含まれているため、税抜価格を正しく算出することがポイント。

 

消費税額は、税込価格(売却価格)から税抜価格を求めたうえで、税抜価格に10%をかける流れで計算します。

 

例えば、建物部分の売却価格が2,500万円(税込)の場合、消費税額は以下のとおりです。

2,500万円 ÷ 1.1 × 0.1 = 約227万円

 

3. 事前に消費税額を試算して納税資金を確保する

消費税額を事前に試算しておくことで、納税資金の準備が可能になります。

特に高額物件を売却する場合は、思った以上に消費税額が大きくなることがあるため、注意が必要です。

 

また、消費税の納付期限は、個人事業主の場合、取引があった年の翌年3月31日までです。

 

納税が必要な場合は、期限内に申告・納付できるよう、事前準備を徹底しましょう。

 

不動産の個人売買に必要な書類や流れ、費用については、「不動産の個人売買での必要書類は?流れや費用、注意点も解説」で詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。

 

4. 専門家に相談して適切な節税対策を取る

不動産売却のタイミングや価格按分には、税務リスクや判断の難しさが伴います。

 

特に、売却金額が大きい場合や、節税方法が複雑なケースでは、専門家のアドバイスを受けながら、適切な節税対策を検討することが重要です。

 

不動産売却にかかる費用や、その節税方法については、「不動産売却の費用はどのくらい?内訳ごとの目安や安く抑える方法も!」で詳しく解説しています。

ぜひあわせてご参照ください。

 

 

不動産売却時の消費税に注意!課税条件を確認しよう

不動産売却における消費税の取り扱いは、売り主の属性(個人か法人か)や不動産の用途(居住用か事業用か)によって大きく異なります。

 

個人が住居用不動産を売却する場合、消費税がかからないことが一般的ですが、事業用不動産の売却や法人による売却では、建物部分に消費税が課されるケースが多いため注意が必要です。

 

また、仲介手数料や司法書士への報酬など、売却に付随する各種費用にも消費税がかかるため、思わぬ出費を避けるためにも、事前に確認しておくことが大切です。

 

消費税の課税条件をあらかじめ確認し、納税資金の確保も含めて計画的に準備しましょう。

 

不明点がある場合は、税理士や不動産会社など、専門家に相談することをおすすめします。

 

栃木県で不動産の売却を検討している方は、栃木県・地域専門の不動産売買専門店「イエステーション」に、ぜひご相談ください。

 

不動産売却にかかる消費税とは?課税・非課税を徹底解説

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